ファイル転送プロトコル (FTP) を使用してオブジェクトデータを Vault に読み込むことができるようになりました。単一の CSV ファイルを使用して単一のオブジェクトのレコードを作成・更新するか、複数の CSV を含む ZIP ファイルを使用して一度に複数のオブジェクトのレコードを作成・更新することができます。オブジェクトを更新すると、監査証跡など、オブジェクトへのすべての関係や参照が維持されます。
Vault では、更新操作は削除や作成操作とは異なります。既存のレコードを削除して更新されたデータを含む新しいレコードで置き換えるのではなく、Vault は既存のオブジェクトレコードを更新するだけです。
Vault の FTP サーバにアクセスする
Vault の FTP サーバにアクセスするで手順をご確認ください。Vault の FTP サーバに接続すると、この機能を有効化してデータの読込みを始めることができます。
FTP の自動化を有効化するには
この機能を有効化するには、各ユーザのディレクトリにある「Vaultloader」という名前の FTP サーバに新規ディレクトリを作成する必要があります。例えば、ユーザ ID が 5678 の Vault ユーザである Clara に「Vaultloader」ディレクトリを作成するには、vault1234/u5678 に進み「/vaultloader」を追加します。このディレクトリに CSV と ZIP ファイルをアップロードします。
CSV 入力ファイルの準備
CSV 入力ファイルの形式は、Vault Loader 用とほぼ同じです。フィールドの名前値 (field_name__v) で列にラベル付したら、行ごとに 1 つのオブジェクトレコードとしてフィールド値を入力します。CSV の要件については以下の表をご確認ください:
- オブジェクトごとに 1 つの CSV ファイルを作成します。
- 列の見出しとしてオブジェクトフィールドの名前値 (field_name__v、__c、__clin) を使用します。
- オブジェクトの名前値 (object_name__v、__c または __clin) で CSV ファイルに名前を付けます。例えば、被験者オブジェクトにレコードを読み込むには、CSV を「subject__clin.csv」と命名します。
- *.csv ファイルとして保存します。
- 複数の CSV として転送するには、CSV ごとに ZIP ファイルに追加します。
新規レコードを作成するのではなく既存のレコードを更新する場合は、Vault が CSV の各行をレコードに一致させるのに使用できる固有のフィールド (名前や ID など) を指定することで、Vault が既存のレコードを更新することを確認することができます。CSV の列としてフィールドを使用し、フィールド名を以下の形式で CSV ファイル名に付加します。
object_name__v.field_name__v.csv
例えば Gladys が EDC レポートから CTMS Vault に被験者登録データを読み込む場合、被験者オブジェクトに外部 ID を使用して、レポートとターゲット Vault 間の被験者レコードを一致させることができます。
Gladys は CSV に外部 ID (external_id__v
) の列を含めることができます。次に Gladys は subject__clin.external_id__v.csv
のファイル名で保存します。
CSV 処理の順序を Vault に定義する
複数のオブジェクトにレコードデータを読み込む場合、CSV を処理する順序を Vault に定義する必要があるかもしれません。例えば、Gladys が被験者オブジェクトとプロトコール逸脱オブジェクトの両方にレコードデータを読み込もうとしているとします。プロトコール逸脱には被験者への参照関係があります。Gladys は、被験者レコードを作成して初めてそれらを参照するプロトコールの違反または逸脱レコードを正常に作成することができます。Gladys は、order.txt ファイルを含めることにより、ZIP ファイルに同じ時間で両方の CSV を読み込むことができます。
読み込むオブジェクトを希望する順に一覧表示するプレーンテキスト (.txt) ファイルを作成します。例えば Gladys の order.txt
ファイルには以下が含まれます:
subject__clin
pdv__clin
Vault は、CSV ファイル名の 1 つのオブジェクト名を参照しない行は無視します。そのため、毎回オブジェクトの完全な組み合わせを読み込まなくても、複数のデータ読み込みに同じ order.txt ファイルを再利用することができます。
Order.txt ファイルを ZIP ファイルに含めない場合、Vault はアルファベット順に CSV を処理します。
サンプル CSV
FTP サーバ詳細
Vault は、7 日後に FTP サーバから FTP ローダーファイルを自動的に削除します。
単一のオブジェクトにデータを読み込むには
- FTP サーバに接続します。
- /vaultloader ディレクトリに CSV ファイルを読み込みます。
- Vault は CSV を取り込み、適切なオブジェクトレコードの作成または更新を行います。
複数のオブジェクトにデータを読み込むには
- FTP サーバに接続します。
- /vaultloader ディレクトリに ZIP ファイルを読み込みます。
- Vault は、order.txt ファイルに指定された順序で CSV を取り込み、適切なオブジェクトレコードの作成または更新を行います。
成功および失敗ログファイル
Vault は毎ロード後、CSV ファイルとして別々の成功ログと失敗ログを作成します。これらのファイルは、Vault 内通知またはメール通知からダウンロードすることができます。両ファイルには、各レコードのシステム管理 ID 値が含まれます。
失敗ログ
失敗ログには以下が含まれます:
- 読込みに失敗した各レコードのエラーメッセージ
- 対応するエラーと元のデータ
- 対応する行の元の CSV ファイルの行 ID
エラーログからエラーを確認・修正することができます。エラーを修正すると、失敗ログを再度インポートすることができます。
関連権限
システム管理者または Vault 所有者の標準プロファイルで、本書に記載されたすべての手順を完了することができます。
お使いの Vault がカスタムセキュリティプロファイルを使用している場合、プロファイルに以下の権限が付与されている必要があります:
タイプ | 権限ラベル | 制御 |
セキュリティプロファイル | 管理者: ファイルステージング: アクセス | Vault の FTP ステージングサーバにアクセスする権限。 |
セキュリティプロファイル | 管理者 : アクセス API | FTP 経由でレコードを作成・更新するのに必要とされる API コールを実施する権限。 |
セキュリティプロファイル | Vault 所有者アクション: Vault Loader | Vault Loader タブを表示・使用する権限。FTP 経由でのレコードの作成・更新では Vault Loader タブは使用しませんが、FTP サーバを使用した読込みの自動化には Vault Loader を使用する権限が必要です。 |
セキュリティプロファイル | オブジェクト: {オブジェクト} : 作成、編集 | Vault に読み込むオブジェクトのレコードを作成・編集する権限。 |
セキュリティプロファイル | オブジェクト : {オブジェクト}: 読み取り | Vault に読み込むオブジェクトの関連レコードを表示する権限。例えば、被験者を作成する場合、ユーザは治験、治験実施国、施設の各オブジェクトへの読み取りアクセスが必要となります。 |